ノンフリート等級制度とは?
自動車保険を契約している人たちは、当たり前のように「等級」の話をします。
これは、「ノンフリート等級」の等級のことで、保険料に大きく影響しているものだということを知っているからでしょう。
では、そもそもその「ノンフリート等級」というのはどういうもので、その等級が違うと、どれくらい保険料が変わってくるのでしょうか?
ノンフリート等級制度というのは、割引率(割増率)ごとのランク分け制度のことです。
ランク(等級)ごとに割引率(割増率)が規定されており、そのランクによって保険料が割引され(割り増しされ)るものです。
※なお、ノンフリート等級は9台以下の車を所有している人に適用される制度です。もし10台以上保有している場合は、「フリート等級制度」が適用され、以下の説明とは違う内容になります。
なぜ等級制度が生まれたの?
そもそもこの制度は事故を起こした人と、安全運転で事故を起こしたことのない人とで同じ保険料を支払うことに対する不公平感から生まれたものです。
そのため、安全運転で事故を起こさずに過ごした年数が長ければ、それだけ割引される(ランクが上がる)ようになっています。
それに合わせて、事故を起こした人に対するペナルティの意味も含まれているということも、理解しておかなければいけません。
なお、2015年10月から適用開始されているノンフリート等級改正制度では、従来あった「等級据え置き事故(保険を使用しても等級に影響がない事故。ノーカウント事故とは別のものです)」がなくなっています。
また、等級ダウンを防いでくれる等級プロテクト特約もなくなりました。
その上、事故を起こした場合に適用される割引率も新設されており、保険を使うことでより割引率が悪くなる(割り増しされる場合もある)結果となっています。
等級ごとの料金はこれだけ違う
ノンフリート等級制度の等級は1等級から20等級まであります。
また、事故を起こしていない人が適用される「無事故等級」と事故を起こした人が一定期間適用される「事故有等級」という2つのテーブルに分かれています。
以下にその等級表を記載します。
等級 | 無事故/割増率 | 事故有/割増率 |
---|---|---|
1等級 | 64% | |
2等級 | 28% | |
3等級 | 12% | |
4等級 | -2% | |
5等級 | -13% | |
6F等級 | -19% | |
7F等級 | -30% | -20% |
8等級 | -40% | -21% |
9等級 | -43% | -22% |
10等級 | -45% | -23% |
11等級 | -47% | -25% |
12等級 | -48% | -27% |
13等級 | -49% | -29% |
14等級 | -50% | -31% |
15等級 | -51% | -33% |
16等級 | -52% | -36% |
17等級 | -53% | -38% |
18等級 | -54% | -40% |
19等級 | -55% | -42% |
20等級 | -63% | -44% |
上記のように、無事故等級と事故有等級とで、最大20%ほどの割引率の差があります。保険料が2割も変わってくるのは、とても大きな違いです。
新規契約時は6等級から。ただし割引率は違う
車を新規購入して自動車保険を始めて契約する人は、6等級か、もしくは7等級から始まります。
ただし、6等級や7等級といっても契約時の年齢制限によって5種類(6A、6B、6C、6G、6Dと7A、7B、7C、7G、7D)の割引率が設定されており、継続した場合の6等級(6F)及び7等級(7F)でもまた別の割引率が設定されています。
等級 | 6等級割増率 | 7等級割引率 |
---|---|---|
A(年齢制限なし) | 28% | 11% |
B(21歳以上) | -3% | -11% |
C(26歳以上) | -9% | -40% |
G(35歳以上) | -9% | -40% |
D(年齢条件対象外車種) | 4% | -39% |
なお、7等級から始まるのは「セカンドカー割引」という制度を導入している保険会社で契約する場合のみ適用されます。
また、以下の条件を満たしておく必要があります。
- 新規契約であること(継続ではないこと)
- 新規に入手した車を主に運転する人(記名被保険者)と車の所有者が、既に契約している保険の記名被保険者、所有者と同じであること
- 既に契約している保険の等級が11等級以上であること
- 新規、既存どちらの保険契約も、自家用車であること
- 新規契約の保険の開始日が、既存契約の保険期間内であること
等級ごとの保険料をシミュレーション
等級によって割引率に大きな違いがあることは分かりましたが、割引率の話ではどれくらい負担が違うのか、ピンとこないかもしれません。
実際にどれくらいの金額の違いになるか、具体的に計算してみましょう。
基本の保険料が10万円として、1等級、6A、7A、事故有の10等級、無事故の10等級、事故有の20等級無事故の20等級について、それぞれ保険料を算出してみます。
等級 | 割引率(割増率) | 保険料 |
---|---|---|
1等級 | 64% | 164,000円 |
6A | 28% | 128,000円 |
7A | 11% | 111,000円 |
事故有の10等級 | -23% | 77,000円 |
無事故の10等級 | -45% | 55,000円 |
事故有の20等級 | -44% | 56,000円 |
無事故の20等級 | -63% | 37,000円 |
1等級と20等級を比べるのはあまりですが、その差は127,000円と基本の保険料を超えています。
また、最初の契約時の6A等級と比べても、20等級との差は91,000円となっていますので、とても大きな差があることは実感できるでしょう。
また、無事故等級と事故有等級については、無事故等級の10等級と事故有等級の20等級がほぼ同じ金額になっています。
事故を起こした場合のペナルティの大きさがよく分かります。
上がる条件と下がる条件
上述しているように、ノンフリート等級制度は、無事故でいれば等級が上がります。逆に事故を起こすことで下がります。
この等級が上がる条件と下がる条件について、きちんと理解しておかなければいけません。詳しく確認していきましょう。
等級が上がる条件
無事故で(正確には保険適用せずに)1年間過ごすと、等級が1つ上がります。
そのため、最初に車に乗ってから最高等級の20等級になるには、最低でも14年間必要ということになります。等級を上げる方法は、地道に積み重ねるこの方法しかありません。
ただし、もし家族から等級を引き継ぐことができれば、スタート時の等級をもっと高いところから始めることもできます。しかし、実際に対象となる人は限られるでしょう。
等級が下がる条件
等級が下がる条件は簡単です。
「事故で保険を使う」ことです。
ただし、どんな事故でも同じように下がるわけではありませんので、もう少し詳しく説明しましょう。
事故の種類には、以下の3種類があります。
ノーカウント事故
等級に影響がない事故で、以下の補償や保険を適用する部分が対象になります。
- 対人臨時費用
- 人身傷害
- 傷害一時金保険
- 弁護士費用特約
- ファミリーバイク特約
- 個人賠償責任特約
- 携行品損害補償特約
など
実際には保険会社によりますので確認が必要ですが、車両保険に関するものは1つもないなど、ほぼ事故発生時に付随するものや乗車時以外の補償ばかりだということが分かると思います。
1等級ダウン事故
以下のような原因で保険を適用する場合に該当します。
2015年10月より前までの契約では「等級据え置き事故」として等級に影響のなかった事故ですが、制度改正後は1等級ダウンするようになっています。
周知はされていますが大勢の方が認識していないと思われますので、気をつけなければいけません。
- 火災または爆発
- 盗難、いたずら、落書き
- デモ、労働争議などに伴う破壊行為
- 台風、竜巻、洪水または高潮
- 飛来中または落下中の他物との衝突
- その他、偶然の事故
上記の場合は、契約者になんの落ち度もない状況である場合が多いです。
しかし、これらを原因とする車両破損について車両保険を使うと、等級が1ランクダウンし、かつ1年間は事故有等級での割引率になります。気をつけようもないかもしれませんが、気をつけましょう。
3等級ダウン事故
上記に該当しない事故の場合、等級が一気に3ランクもダウンし、事故有等級が3年間適用されることになります。
とても大きな負担増ですが、ここに該当する事故は、一般的な交通事故すべてだと思ってほぼ間違いありません。
事故有等級の適用期間
ランクダウン事故で保険を適用すると、等級が下がるだけではなく数年もの間、事故有等級での割引が適用されます。
そのため、保険料が思った以上に高額になることでしょう。
この適用期間は、ダウンするランクと同じ年数です。(1ランクダウンであれば1年、3ランクダウンであれば3年)そのため、1年間に何度もランクダウン事故での保険を適用するとランクダウンが累積するように、事故有等級の適用期間もその分延長されます。
最長6年までと制限が設けられていますが、多くの場合は割増となっているでしょうから、6年というととても大きな負担になるでしょう。
なお、1つの事故に対して1回のランク変動になるため、仮に1等級ダウン事故が2回と3等級ダウン事故が重なっても3等級ダウンの対象(+3年間の事故有等級)になるだけです。
自分の等級の確認方法
現在の等級を確認したいなら保険証券を確認してください。
保険会社によって書かれている場所は違いますが、よーく探せば書いてありますよ。
保険証券が見当たらない方は、電話で確認するしかないですね。
住所と名前を言えば教えてくれますよ。
まとめ
ノンフリート等級制度については、安全運転していればランクアップして割引率が上がっていくため、保険料が大きく減額されていくという利点があります。
しかし、保険でもっとも重要な「いざという時」の処理(対人、対物、車両保険を適用)を行った場合はランクが大きく下がり、事故有等級が適用されて割引率が低い(割増される場合もある)状態になります。
保険を適用する際には、等級と合わせて実際に適用される割引率を確認した上で、決定しなければいけません。ご注意ください。
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